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Not Prompt. Not Even Loop. ─ AI時代、最初に設計すべきもの|Lazuli Executive Briefing 2026.7.23

Not Prompt. Not Even Loop. ─ AI時代、最初に設計すべきもの|Lazuli Executive Briefing 2026.7.23

生成AI

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最近、AI業界で急速に広がっている言葉があるのですがご存じですか。

「Loop Engineering(ループエンジニアリング)」

少し前まで、「Prompt Engineering」がAI活用の中心テーマでした。

しかし今、最前線の開発者たちは「プロンプトを書く」ことから、「ループを設計する」ことへと関心を移しています。

NVIDIAのジェンスン・フアン氏は、最近公開されたインタビューの中で、
「もはや誰もプロンプトを書いていない。新たな仕事はループを書くことだ」
という趣旨の発言をしました。

https://x.com/PawelHuryn/status/2071937473421226388
(10万人以上の読者を抱えるニュースレター「The Product Compass」の著者で、世界的に有名なプロダクトマネジメントの専門家「Paweł Huryn」のポストより)


What Is Loop Engineering, And Why Does Jensen Huang Says You Must Learn It Over Prompt Engineering?
(メディア掲載の記事はこちら)


またAnthropicでClaude Codeを開発したBoris Cherny氏も、

「私はもうプロンプトを書いていない。ClaudeがClaudeにプロンプトを書いている」

と語り、「Loop Engineering」が次の大きな潮流になると述べています。

OpenAI出身のAndrej Karpathy氏も、今年に入ってから「Loopy Era(ループの時代)」や「Agentic Engineering」という表現を使いながら、AIエージェントが継続的に実行・評価・改善を繰り返す世界観を語っています。

(No Priors: Andrej Karpathy on Code Agents, AutoResearch and the Loopy Era of AI)


さらにOpenAIのエンジニアであるPeter Steinberger氏も、

「コーディングエージェントに対して、もう直接プロンプトを書くべきではない。エージェントをプロンプトするループを設計すべきだ」


と発信しています。

つまり、現在の最前線では、

  • 人間がプロンプトを書く

  • AIが実行する

ではなく、

  • 人間が目標を定義する

  • AIが実行する

  • AIが評価する

  • AIが修正する

  • AIが再実行する

というループ構造が主役になりつつあると理解できます。
また、大きな変化がやってきましたね。
LLMは本当に動きが激しくて、情報を追いかけるだけでも大変です笑


しかし、こうした議論を見ていて少し気になることがあります。

それは、

「ループを作ること」ばかりに注目が集まっていることです。


確かに、AIに目標を与え、実行させ、結果を評価し、改善させる。
この一連の流れを自動化することは重要です。

しかし、ループそのものは本質ではないことを意識して社内で議論した方が良いかと思います。
なぜなら、ループはあくまで「改善の仕組み」であって、「何を改善するか」を決めるものではないからです。

マラソンで目的地を間違えたまま走り続ければ、どれだけ速く走っても目的地には辿り着けません。

AIも同じです。

どれだけ優秀なエージェントを作っても、

  • 何を成功と定義するのか

  • 何を評価するのか

  • どの方向に改善させるのか

が曖昧であれば、AIは正しい方向へは進んでくれません。

実際、企業のAI活用を見ていると、多くのプロジェクトが「生成」まではできています。

商品説明も作れる。

レポートも書ける。

コードも生成できる。

しかし、その先で止まってしまうケースが少なくありません。

理由はシンプルです。

良し悪しを判定する基準が定義されていないからです。

商品説明なら、

「自然な文章か」

だけでは不十分です。

本当に知りたいのは、

  • 検索流入は増えたのか

  • コンバージョン率は改善したのか

  • ブランド表現として適切なのか

  • 法務リスクはないのか

といったことです。


つまり、

ループを回す前に必要なのは、評価軸を作ることです。


もっと言えば、ループの価値は、評価の質によって決まります。

評価が曖昧なら、ループはただの反復作業になります。

評価が明確なら、ループは学習装置になります。


だから私は、「これからはループの時代だ」という主張には賛成しつつも、その前にやるべきことがあると思っています。

それは、

何が成功なのかを定義すること。

そして、

それを測定できる状態を作ること。

です。


AIエージェント時代において、本当の競争優位はループの数ではありません。


評価できるデータを持ち、成功条件を定義できること。


その土台があって初めて、ループは意味を持つのだと思います。


では、自社のAI活用に置き換えて考えてみましょう。


最近、多くの企業でAI活用専門チームやAI推進組織が立ち上がっています。

そして、その多くがエージェントやループの構築に取り組み始めています。

しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。


そのAIチームは、

「何をもって成功とするのか」を定義できているでしょうか。


例えば、

  • AIが資料作成時間を短縮した

  • AIが商品説明文を生成した

  • AIが問い合わせ対応を自動化した

これらは成果でしょうか。

もちろん価値はあります。


しかし、それは本当に事業成果につながっているのでしょうか。


資料作成時間が半分になった結果、

営業の受注率は上がったのか。


商品説明文を大量生成した結果、

売上やCVRは改善したのか。


問い合わせ対応を自動化した結果、

顧客満足度は向上したのか。


ここが評価されていなければ、AIは導入できても改善はできません。

なぜなら、改善とは評価の結果だからです。


評価基準がなければ、

AIは何を改善すればよいのか分かりません。


そして人間も、

何が良くなったのか説明できません。


最近のAI業界では「ループ」が流行っています。

  • 生成する。

  • 評価する。

  • 修正する。

  • 再実行する。


しかし、多くの企業で実際に起きているのは、

  • 生成する。

  • なんとなく見る。

  • もう一度生成する。

というループです。

これでは改善は起きません。

単なる繰り返しです。


本来あるべき姿は、

  • 成功を定義する。

  • 測定する。

  • 評価する。

  • 改善する。

  • そして再び実行する。

というループです。

つまり、ループの中心にあるべきものはAIではなく評価です。

AIエージェント時代になると、「ループを作れること」自体はコモディティ化していくでしょう。


おそらく数年後には、誰でも簡単にエージェントを構築できるようになります。

そのとき差になるのは何か。


それは、

何を評価するかを定義できる組織かどうか。

です。


もし自社にAIチームがあるなら、一度問いかけてみてください。

私たちはループを作れているだろうか。


ではなく、

私たちは成功を定義できているだろうか。


そして、

その成功に向かって改善できているだろうか。


AI活用のゴールはループを作ることではありません。

成果を出すことです。

ループは、そのための手段に過ぎないのです。


萩原 静厳

CEO, Lazuli株式会社