小売企業やブランドにおいて、オンラインでの商品販売が重要な要素になってきています。オンラインでの商品販売を成功させていくために、どのような指標を追うといいのでしょうか。本記事では、デジタルセールスに関する、事業成功のためのKSFについて紹介します。
KSF(キー・サクセス・ファクター)とは
KSFとは、Key Success Factorの頭文字をとったもので、日本語では「重要成功要因」と訳される、事業を成功させるために何が必要かを指すものです。KSFを設定することで、多様化したニーズに対応したり効果的な戦略の立案をしていくことに繋がります。
これは、KGIやKPIといった言葉にも似ていますが、違いとしては以下が挙げられます。
・KSFとKGIの違い
KGI(Key Goal Indicator)は、「重要目標達成指標」の略であり達成すべきゴールを数値化した指標です。KPIとKSFはKGIを達成するために必要な指標となります。
・KSFとKPIの違い
KPI(Key Performance Indicator)は、「重要業績評価指標」の略でKGI達成のために必ず到達すべき指標として、具体的な数値で設定されます。KSFを数値化した指標がKPIとなります。
デジタルセールスのKSFは、チャネル数×商品数×情報量
◉ デジタルセールスにおける潮流の変化
インターネットの普及により、実店舗だけではなく、様々なデジタルチャネルでの販売が可能となっています。COVID-19によるオンライン購入・配送の普及にも伴い、デジタルで購入する顧客の増加も目立ちます。
今、実店舗を持つ企業には、オンライン販売に対応することが当たり前に求められるようになってきました。
すでにオンライン販売に対応している企業と競争しつつ、勝ち残っていくためには、何が重要な指標となってくるでしょうか。
◉ デジタルセールスにおけるKSF
デジタルセールスで事業を成功させるために必要な要素として、以下の3点が挙げられます。
・チャネル数
顧客のニーズが多様化する中で、世の中のチャネルも様々増えてきています。つまり、あらゆるチャネルに顧客が存在します。これらのチャネルを網羅すればするほど、顧客を網羅することができるのです。
例えば、自社のEC立ち上げを初め、Amazonや楽天などの大手モールが挙げられます。
・商品数
オンライン販売が当たり前になってくると、顧客がオンライン販売に求めるものも増えてきます。これまでは、重たいペットボトルや家電のような商品を求めていたものが、日用品や食品など、従来よりも様々なカテゴリ、ラインナップで商品を求めるように変化しています。取扱商品点数を増やし、顧客が欲しいタイミングで欲しいものを買える、というシームレスな体験を作り上げることは、一顧客あたりの購買点数を上げることにも繋がります。
・情報量
各チャネルに出店し、取扱商品点数を増やしても、商品ページに情報がなければ、顧客はその商品を本当に買っていいか判断がつきません。商品名や重量、スペック、商品説明文などの基本情報はもちろん、商品特徴を表すキーワードなどを商品ページに充足させることは、顧客の購買意思に影響を与えます。また、レコメンド製品の精度を上げることで、PB(プライベートブランド)商品購入への意思決定にも役立ちます。
これらのKSFに取り組んでいる企業の事例
◉ 国内
無印良品
無印良品は公式通販である、ネットストア「無印良品ネットストア」を2000年に開設し、O2Oの先駆けともなる施策に多く取り組んできました。その中で、2020年5月よりAmazon、6月より楽天に出店しました。コロナの影響による需要拡大も追い風になりましたが、2020年8月期のEC売上高は、前年同期比37.9%の161億8900万円とチャネル拡大による売上高の増加が見られました。
ビックカメラ
ビックカメラは2003年10月にインターネットショッピングサイト「ビックカメラ.com」を開設、2012年6月にAmazonへ出店しました。また、2018年4月にオンラインとオフラインの連携を含む、お客様の多様なニーズに応えるため、「楽天ビック」の運営を開始しています。こういったチャネルの拡大やオンラインと実店舗の連携によって、EC売上高はは向上しています。
◉ 海外
Walmart(ウォルマート)
世界最大の小売企業と呼ばれるウォルマートは、2000年にオンラインショップを開始しました。同社はムースジョーやボノボスといったブランドからインド最大のオンライン小売業者であるフリップカートまで、買収を繰り広げ、ウェブサイトのデザインを一新し、オンラインで勝てるカテゴリーを見つけました。ウォルマートのオンライン商品の品揃えは2018年時点で4300万点を超えています。
最近のデータによると、ウォルマートのオンライン売上はここ数年で大幅に伸びており、同社のオンライン売上高(卸売部門であるサムズクラブのeコマース売上高を含む)は、2019年度に251億ドルを記録しました。また、ウォルマートのオンライン売上高は2020年に397億ドルに増加し、翌年にはさらに649億ドルに増加しており、今も年々売り上げを伸ばしています。
Home Depot(ホーム・デポ)
アメリカ最大級のホームセンターチェーンであるホーム・デポのオンライン売上高は1月29日に終了した会計年度第4四半期のオンライン売上高が前年同期比4.0%増加しました。また、総売上高は358億3,000万ドルに増加し、前年同期の357億1,000万ドルから0.3%の小幅増となっています。実店舗向きの商品を取り扱うホーム・デポすらも、オンライン対応し、オンラインとオフラインの境目をスムースにすることで売上が増加しています。
まとめ
先駆けて店舗のデジタル化を進めた企業は、着実に売上を伸ばしています。様々なコストはかかりますが、事例にあったとおりデジタル化が進んでいくこれからの時代には、これらの企業のようにデジタルへの切り替えは必須となってきます。
既存の実店舗を最大限活かしつつ、デジタルへの切り替えも併せて進めていくことで、激しい業界の変動の中で生き残っていけるのではないでしょうか?
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