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NRF2024 & NYリテールツアー報告会:小売とテックの最新トレンド

Feb.8.2024

Lazuliは株式会社顧客時間 共同CEO兼 オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員/COCOの奥谷孝司氏、CESにも参加された株式会社ヤプリ エグゼクティブ・スペシャリスト兼 株式会社顧客時間プロジェクトマネージャーの伴大二郎氏、をスピーカーとしてお招きし、米国にて開催された世界最大の小売向けイベント「NRF 2024:Retail's Big Show」およびニューヨークリテールツアーの報告会を2024年2月6日に開催しました。本記事では、セッションの内容をピックアップしてお伝えします。

毎年1月に米国で開催される小売分野で世界最大級のカンファレンスである「NRF 2024:Retail’s Big Show」。

各年の業界トレンドを予測するイベントとして、世界各国からの注目を集める当イベントですが、今回はAIが小売業界に革新的なCXと従業員体験の向上をもたらしている点が強調されており、大手クラウドサービスには当たり前のようにAIが組み込まれ、AIを使う使わないの議論からどう使うか?というトレンドに変化していることが挙げられました。

海外リテールの最新トレンド

今年のNRFは「Make it Matter」をテーマに、特に小売業界でのAI活用事例やDtoC(Direct to Consumer)への転換、ファーストパーティーデータの獲得に関する各社の取り組みが議論されました。一夜にして収益を30%増加させたGUCCIのコールセンターにおける生成AI活用事例やWalmartの新規事業戦略が、盛り上がったキーノートの一例として紹介されました。

欧米では、IT業界だけでなく小売業界においても、生成AIはすでに民主化している中で、AIを業務に取り入れることが既にコモディティ化しつつあります。AIを使うことが競争優位性にならない中で、各社どのように差別化していくかを考えていくフェーズだと見られています。顧客のニーズとジョブ(解決したい課題)を捉え、AIの活用を通じた顧客体験(CX)と従業員エンパワーメントの向上が、二つの重要なテーマとして議論されました。

AIの活用と顧客体験(CX)の向上

AIの活用により、レコメンドの精度向上、カスタマーサポートの効率化、配送プロセスの改善、新規事業の企画など、小売業界全体にわたる革新が進んでいます。

若者向けコスメ専門店「Ulta Beauty」では、顧客の肌状態をデータとして持つことで活用を実現。AIによるレコメンド精度が向上し、店頭で従業員が接客する際に顧客に最適化された化粧品のサンプルを渡せるなど購買体験も大きく進化しています。

ペット用品店「Chewy」はペット用品販売からペットのヘルスカンパニーへの転換に成功しています。従来はペット用品小売から、ファーストパーティーデータとAIの活用により、顧客のニーズに応える新規サービスを開発。トリミングレッスンや動物保険、ペット連れ旅行プランニングなど、顧客を中心とした垂直的なサービス展開に成功しています。

(左:オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員/COCO奥谷 孝司氏、右:株式会社ヤプリ エグゼクティブ・スペシャリスト 伴 大二郎氏)

新たなトレンド「従業員エンパワーメント」

従業員エンパワーメントも新たなトレンドとして注目されており、AIの活用がCXを革新的に向上させるとの見方が示されました。従業員向けアプリケーションの開発が急速に進み、多くの企業が従業員の生産性と満足度を向上させるためのカスタムアプリケーションの開発に力を入れています。シフト管理、在庫確認、顧客データへのアクセス、社内コミュニケーションツールなど、従業員の日常業務をサポートするとともに、顧客情報をリアルタイムに提供することで、従業員は顧客に対してより迅速かつパーソナライズされたサービスを提供できるようになります。

農村向け専門店のTractor Supply Co. では、従業員がヘッドセットを通じて顧客との会話をリアルタイムにAIに転送し、その場で回答を得るシステムが実現されています。例えば、「最近、鶏の産む卵の数が少なくなってきたがどのような対処が必要か?」など抽象的な質問を投げかけても、新人からベテランまで誰もが一定の水準で回答できるようになっています。このような取り組みは、顧客との会話から得られるデータを分析し、より深い顧客理解につなげる貴重な仕組みとなっています。

みんながD2C企業を目指す

大手物流会社FedexではAmazonへの危機感から、eコマースソリューションツールへの強化に投資しています。

物流企業は配送情報というファーストパーティデータを膨大に持っており、小売業界のもつ顧客情報と連携することで、さらに顧客体験を向上させていく新たなビジネスへの転換を進めています。

ジーンズメーカーのLevi’sもD2Cへの転換を進めており、卸ビジネスが苦戦する中で、ECや直営店舗で顧客データを活用したオムニチャネル戦略を進め大きく成功しています。

カスタマージャーニー全体にわたるデータの収集・整備が鍵

オンラインタッチポイントを持つことが一般的になり、多くの企業がD2Cやエンゲージメントに注力していることが示されました。生成AIやメタバースアプリといった最新のテクノロジーを駆使して、企業は顧客だけでなく従業員との信頼やエンゲージメントを強化することを目指しています。これらの活動をデータドリブンに進めるに当たって、パーパス経営は必須であり、テクノロジーの利活用による優れた顧客体験の実現が鍵だとされました。

また、優れた顧客体験の実現のためには購買データだけでなく、カスタマージャーニー全体にわたるデータ(顧客データだけでなく企業が持つプロダクトデータも含む)を収集し整備する必要性があるとの見解が示されました。

プロダクトデータの未来

企業が顧客との接点を作らなければならない中で、接点の作り方は多様化しています。その中で最も重要なのは、オムニチャネルのタッチポイントにおける情報、とりわけ商品情報の一貫性を整備し保つことだと強調されました。

また、変化する市場ニーズへの対応、トレーサビリティの実現や社会的責任を果たすためにデータ基盤を整備しておく必要性があり、テクノロジーの活用による解決が示されました。

2024年は領域特化型のAIが台頭してくることが予測されています。Lazuliが提供する「Lazuli PDP」はプロダクトデータの整備に特化しており、生成AIを活用してプロダクトデータの生成や加工が容易に行える点を強調しました。このようなテクノロジーを使って、コストと時間を最小限に抑え、顧客体験の向上を目指す体制構築を一刻も早く整えるべきとの見解でセッションは締めくくられました。

(左:奥谷氏、右:Lazuli株式会社 CEO 萩原 静厳)

まとめ

小売業界におけるテクノロジーの進化とその応用が如何に顧客体験を革新し、企業の成長に貢献しているかをご理解いただけたことと思います。AI技術の進展とその小売業界への応用は、ただのトレンドではなく、今後のビジネスモデルを形作る基盤となっています。LazuliはAIテクノロジーを活用したサービスベンダーとして、プロダクトデータの整備という側面から、皆様の顧客との新たな関係構築やビジネスの成長をお手伝いします。

顧客体験の向上やビジネスモデルの革新に関心がある方は、Lazuliへのお問い合わせをお待ちしております。一緒に未来の小売業を形作り、次世代の顧客体験を創出しましょう。

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