トップ / お役立ち資料 / 【イベントレポート】NRF Retail’s Big Show APAC 2024参加/出展報告
導入事例のアイキャッチ

【イベントレポート】NRF Retail’s Big Show APAC 2024参加/出展報告

  • イベントレポート
  • 小売
  • 顧客理解
Jun.19.2024
導入事例のアイキャッチ

シンガポールで2024年6月11日から6月13日まで開催されていたアジア圏初となるNRF Retail's Big Show。現地でブース出展をしていたLazuliがNRF APACにおけるセッションやブース出展、シンガポールのリテール事情についてRecapします。

直前の参加申込者数は8,000人+、そのうち日本からの参加者は400人と言われているNRF APACですが、本記事では現地で行われたセッションやブース出展の状況、シンガポールのリテール事情についてLazuli視点で解説します。

NRF Retail’s Big Show APAC 2024レポート

米国で毎年開催されている世界最大規模のNRF Retail’s Big Showですが、今年はAPAC初の開催となりました。事前申込者数は8,000人、そのうち日本からは400人と、米国で開催される本イベントと比較しても日本人参加者の多いイベントだったのではないでしょうか。

本レポートでは、NRF Reatail’s Big Show APACについて、セッション、Lazuli開催のイベント、スタートアップゾーンへの出展の3つの観点からレポートします。

公式カンファレンス

3日間で約70ものセッション/イベントが開催された本カンファレンスですが、グローバル企業はもちろん日本企業の貴重な取り組みについても聞くことができる貴重な場となりました。

ここでは、いくつか注目のセッションについてご紹介します。

1. ユニクロ
Fast Retailing グローバルCIO 丹原氏による「デジタル・コンシューマー・リテイラー」としてのユニクロの取り組みについて、顧客中心のビジネスへの変革のための手段としてのDXをどのように取り組んでいるのか解説されました。

ユニクロでは、自社で持つ多様なチャネルに寄せられるお客様の声を重要な情報としてプロダクトやサプライチェーンの改善に活用しています。

RFIDやAIの活用についても言及され、プロセス全体をつなげて考えるユニクロのデータ活用について紹介されました。

2. ドミノピザ
Domino’s Pizza LLC. CDO Christopher Thomas-Moore氏が、Domino’sのビジネスとデジタルの変革について語りました。

ユニークなイノベーションを重ねてきたことでも知られるDomino’sですが、イノベーションの鍵ともなる7つの原則についても語られました。本セッションでは、Pinpoint DeliveryやEmergency Pizzaなど、7つの原則に基づいたDomino’sの様々な広告についても紹介されました。

米国売り上げの80%以上がデジタルチャネルによる注文であるDomino’sではパーソナライズのためにさらなるデジタル化を進めています。

3. LVMH
「Uncorking luxury retail experiences」をテーマに、 Moët Hennessy President Asia Pacific Moët HennessyのLaurent Boidevezi氏によるモエヘネシーのリテール戦略ビジョンが語られました。

家族経営ということでも知られるLVMHですが、一貫したブランドの考え方を貫き、常に「体験」を意識した顧客コミュニケーションを図っています。

「特別」を感じられる体験づくりのために、店舗の設計やボトルへの刻印などのパーソナライズサービスを提供しています。動画を豊富に用いた、LVMHの世界観がよく伝わるセッションでした。

4. オカド + ロッテ
韓国は食料品市場のオンラインシェアが25%に達し、世界でもトップのオンライン化比率を誇ります。韓国トップリテーラーであるロッテは、オンライン食料品ビジネスにおいて競争力と収益性を両立させるための工夫を続けています。強調していたのは、オフラインとオンラインのオペレーションを統合して、コスト削減と収益性の向上を図ること、そして収益性の高い定期配送モデルのための倉庫と配送システムを構築することでした。

配送のスピードや利便性は顧客を惹きつけるため、食料品配送車やソフトウェア・ソリューションをローカライズさせてより顧客体験を向上させる取り組みを進めています。例えばローカライズの取り組みの一つとして、韓国の天井の低い駐車場に対するための低天井配送車の再設計を進めています。

5. Li & Fung
香港最大の商社の一つであるLi & Fung(利豊)は、衣料品、ファッション・アクセサリー、おもちゃ、ゲーム、スポーツ用品、家具、手芸用品、靴、旅行用品、食器などの消費者向け製品輸出を手掛け、欧米や日本においても知名度が高い企業です。

Li & Fungは、世界的な景気変動や地政学リスク、急速に変化する消費者市場に対して、データとテクノロジーを活用して消費者の需要を予測し、高収益のサプライチェーンを確保する努力を続けています。

具体的には、データとAIを活用してファッションデザインを推進し、消費者の需要を予測し、サプライチェーンのリスクを軽減し、物流の予測可能性を向上させています。さらに、SNS・ウェブ検索・小売ウェブサイトのデータを利用して消費者の需要を予測しリアルタイムで商品をデザインしたり、百貨店の品揃えを分析し、トレンドや在庫のギャップを特定したりしています。

サプライチェーンマネジメントにおけるリスク軽減には、コントロールタワーを含む様々な情報源からの情報を管理し、集中リスクと隠れたコストを軽減することが必要であると伝えています。

6. Wesfarmers
オーストラリアの大手小売コングロマリットであるWesfarmers社は、デジタルの成長に注力しています。

特に、無料配送・ロイヤルティポイント・365日返品などの特典を提供するロイヤリティプログラム「OnePass」により、顧客データの収集と活用が進んでいます。

データとAIの活用により、パーソナライズマーケティングやロイヤルティプログラムを提供しながらエンゲージメントも高めることで、ショッピング頻度は非会員の2.7倍、会員登録後の購入額25%アップなど、多くの成果を出しています。

同時に、各ブランドのデータ資産の構築を継続させ、顧客データを活用したリテールメディアにおける新たなビジネスチャンスを構築しています。

Expoブース

今回、当社はスタートアップゾーンに出展いたしました。会場奥のエリアだったこともあり、人通りは多くなかったですが、自社の製品をディスプレイできる貴重な場となりました。PDP(プロダクトデータプラットフォーム)という概念はまだ浸透していないため、理解までのハードルが少し高い製品ですが、海外ではPIMやPLMなどの認知もあるため、どう入った製品か質問を受ける際に説明をスムーズに進めることができました。

また、ブースを設けるとカンファレンスパス、出展者パスが含まれているため、コストパフォーマンスとしてはとても良かったと感じました。

目的をどこに置くかにもよりますが、現地に参加する日本人との接点を持つためのブースであれば、より広く日本企業が集約されたところに出展することをおすすめします。外国人参加者との接点を持つためのブースであれば、会場入り口から正面に見える位置のブースへ出展することをおすすめします。

また、来年の開催も決まっているようなので、もし出展検討されている企業がいれば、ぜひお早めに申し込まれるといいかもしれません。

会期中に主催したイベント

NRF APACの会期中には、ブース出展だけでなく、以下2つのイベントを開催いたしました。

  1. 現地シンガポールのリテール事情に関するディスカッション
  2. Day1, Day2のRecapセッション

現地シンガポールのリテール事情に関するディスカッション

NRF APACに参加された日本企業の方とシンガポールにおける店舗視察を踏まえたインサイトのシェアを行う招待制イベントを開催しました。インサイトの内容を下記にまとめます。

シンガポールという国の特徴としては以下の三つが挙げられますが、特に所得によるエリアの違いを大きく感じました。

  1. 外食文化
  2. 国土の狭さによるレジャーの少なさ
  3. 所得格差

シンガポールでは、ショッピングモールや外食の文化がとても発達していますが、日本ブランドの多さにはとても驚かされました。

DON DON DONKI(ドン・キホーテ)やセブンイレブン、HANDS(東急ハンズ)、ユニクロ、ノジマ、ニトリ、サイゼリヤ、星乃珈琲店などシンガポールの街全体に広く出店していました。

今回視察を行ったDON DON DONKIとFairPriceについて以下簡単にご紹介します。

<DON DON DONKI>
日本では雑多に商品が置かれている印象が強いドン・キホーテですが、シンガポールでは出店様式とは異なり、DON DON DONKIでは、以下が大きな特徴となっています。

  1. 買った食材をすぐに食べられるイートインスペース、フードコートが充実
  2. 生鮮やデリを含め、カテゴリごとの品揃えが豊富で陳列が見やすい
  3. 商品自体のローカライズはされておらず、基本的に日本語表記の商品が販売されている
お酢やめんつゆの棚
鍋スープの棚

1については、DON DON DONKIオリジナルのDonki Drink Drunkといったお酒も飲めるスペースの展開も行われていました。

現地の方々は「美味しいから」という理由でデリやお弁当を購入し、オフィスで食べるといったことが当たり前となっているそうです。また、ビールの陳列が多い印象があるシンガポールですが、DON DON DONKIや現地スーパー「FairPrice」では、ワインの陳列棚が目立つところに配置されていたりと、ビール以外のお酒に関する消費傾向についても窺えます。

<FairPrice>
シンガポール最大手であり、低価格帯の一般層向けのスーパーマーケットです。一般層向けのスーパーではあるものの、提供層や立地に合わせて、コンセプトが異なる店舗を多数展開しています。

Fair Price: 生鮮食品や冷凍食品、お菓子や飲料、日用品、美容用品などを取扱。
FairPrice Finest: お肉やワイン、輸入チーズなどより高級な食品を幅広く取扱。
FairPrice Xtra: 通常の食料品に加え、電化製品や衣類なども取り扱う大型店舗。

本レポートでは、実際に視察に行ったFairPrice Finestについてご紹介します。

前述の通り、FairPrice Finestは通常のFairPriceと比較して高級な商品の取り扱いが多い店舗となっています。

店内は広く、生鮮から酒類、冷凍食品まで品揃えが豊富です。FairPriceではプライベートブランドも多く扱っているため、陳列法など参考になる点も多いのではないでしょうか。日本でもよく見かける併せ買いを狙った陳列なども多く目立ちました。

多くの日本企業、ブランドがシンガポールでも展開されていましたが、商品については基本的にローカライズを行っておらず、とにかく見やすく手に取りやすい店舗づくりを行っていると感じました。

どの店舗でもキャッシュレスは当たり前ですが、店舗のデジタル化やテック利用については特筆して日本より進んでいるものを感じず、場合によっては日本の方が進んでいるように感じられました。

Day1, Day2のRecapセッション

会期3日目の午後には、当社のアドバイザーでもある株式会社IBAカンパニー 代表取締役社長 射場 瞬氏をお招きし、マリーナベイ・サンズ スイートルームにて招待制のランチセッションを開催いたしました。初日・2日目の公式セッションからいくつかの内容をピックアップし、射場氏の知見を交えつつディスカッションを行いました。キーノートの記憶が新しいうちに参加者同士で様々な意見交換、アウトプットを行うことで、キーノートで得られたインサイトをさらに深める大変有意義な時間になりました。

まとめ

Lazuliにとって初めてとなる海外展示会出展は、改善点も含め非常に多くの学びを得ることができました。

各国ならではの商品取扱いや店舗展開など日本と異なる点が多くあるため、海外店舗視察を通して小売/メーカー企業の皆様にとって参考になる点も多いのではないでしょうか?

2024年6月24日では6月初旬にヨーロッパで開催されたShoptalkをはじめ、今回のNRF APACにおける海外企業のデータ活用事例をもとに、リテールにおける今後のデータ活用戦略について解説する報告会を実施します。

下記URLよりお申し込みください。
https://shoptalk-europe-nrf-apac-recap-2024.peatix.com/