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ホーム・デポ事例から学ぶ:「顧客中心のチャネル統合戦略とは」

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Dec.18.2023
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ホーム・デポ(The Home Depot)という企業についてご存知でしょうか?この企業は、オンラインとオフラインの小売戦略を統合する、いわゆる「オンライン・マージ・オフライン(OMO)」や「ユニファイド・コマース」といった言葉の成功事例として知られている米国のホームセンターです。今日は、小売業界の変化と消費者の好みの進化を組み込んできたホーム・デポの歩みを見ていきましょう。

OMOとユニファイド・コマース

顧客中心の戦略: ホーム・デポは「One Home Depot」戦略を掲げ、お客様一人ひとりに焦点を当て、店舗での物理的な買い物体験とオンラインでのデジタルなショッピング体験を上手く融合させています。これにより、お客様のショッピング体験が飛躍的に向上しました。ホーム・デポは店舗の改善、新しいデジタルソリューションの導入、配送オプションの拡充、そしてプロの顧客を対象とした総合的なエコシステムの構築に力を入れています。

Eコマースへの投資: 同社は約3億ドルを投資し、Eコマースのアップグレードを成し遂げました。この投資は、ウェブサイト機能の改善やオンライン顧客体験の向上だけでなく、オンラインストアと店舗在庫の統合、ダイレクト・フルフィルメント・センターのような効率的な注文処理能力の開発といった流通、SCM(サプライチェーンマネジメント)の改善にも向けられました。

実店舗の活用: ホーム・デポの注文の約40%は、既存の実店舗を活用しています。オンラインで購入し、店舗で受け取るというオプションは、同社で最も急成長しているeコマースチャネルとなっています。このアプローチにより配送コストを節約するだけでなく、顧客を店舗に呼び込み、そこでの追加購入を促す効果も期待されています。[1]

4つの成功要因

デジタルの成長と市場地位の確立: ホーム・デポのオンライン売上高は、2012年度の純売上高の2.4%から2017年度には6.2%と、目覚ましい成長を遂げました。この成長は、デジタル売上高が年間約20%増加し続け、売上高成長率を大幅に上回っていることに起因しています。

技術革新による顧客体験の向上: オンライン注文に即時反映させる到着予定時刻(ETA)のような新サービスを導入することで、オンライン顧客体験を向上させました。また、アプリに拡張現実(AR)を導入し、これにより顧客は購入前の不安を軽減することができるようになりました。実店舗の拡大よりもデジタル投資を優先したことが、同社の成長には欠かせなかったとされています。

プロ顧客重視: 同社はまた、プロの建設業者や建築業者に対応するために、専用のEコマース戦略を構築しました。これには、専門的なオンライン・サービスや企業間取引専用のウェブサイトが含まれ、この顧客層特有のニーズに対応しています。

効率的なロジスティクス: オンラインと実店舗のロジスティクスを統合することで、ラストワンマイルの配送と返品を効果的に管理しています。このアプローチにより、Eコマースにかかわるコストが大幅に削減されました。また、2017年にはサプライチェーンに12億ドルを投資し、3年間で米国内に約150の物流施設を建設すると発表しました。この投資は、店舗とオンラインの両方で顧客にサービスを提供する能力を強化することを目的としており、2020年第3四半期のデジタル売上高の伸びを80%増加させることにつながっています。[2] [3]

ホーム・デポの課題

オンライン市場シェアの改善: eコマース・プラットフォームの改善努力にもかかわらず、ホーム・デポは競合他社のオンライン市場における存在感に及ばず苦戦している面もみられます。シームレスなオンラインショッピング体験の提供は依然として課題であり、デジタル機能のさらなる強化が必要とされています。

景気変動に対する脆弱性: ホーム・デポの業績は、住宅市場およびホームセンター事業への消費支出と密接に結びついています。景気後退は、この分野における消費者支出の減少につながり、ホーム・デポの売上高と収益性に影響を与える可能性があります。

Eコマースのトレンドへの対応: 消費者行動がますますオンライン・ショッピングにシフトする中、ホーム・デポはeコマース・プラットフォームの強化という課題に直面しています。テクノロジーとデジタル・マーケティング戦略への投資は、オンライン顧客の獲得と市場シェアの拡大にとって極めて重要です。

激しい競争: 同社は、ロウズのような伝統的な実店舗型小売業者と、アマゾンのようなオンライン大手の両方との厳しい競争に直面しています。この競争環境下においては、既存顧客を維持し、新規顧客を獲得するために、継続的なイノベーションと差別化が必要となっています。

[4]

まとめ

ホーム・デポの事例は、現代の小売業界での革新と適応の見本と言えるでしょう。OMO、ユニファイド・コマース、eコマースを戦略的に統合することで、彼らは小売部門のリーダーとしての地位を不動のものにしました。顧客体験の向上と物理・デジタル両資産の効率的な活用が大きな成功を収めています。ただし、持続可能な成長の維持など、彼らが直面している課題は、小売業界の急速な進化に対応するために継続的な革新と柔軟な適応が重要であることを示しています。ホーム・デポの今後の動向から目が離せません。

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