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ブランド体験をアップデートするデータ×AI最新事例〜アイスタイルが考えるCXのカタチとは〜 – Lazuli Executive Salon Vol.6 開催レポート

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Jun.30.2025
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2025年4月23日、Lazuliは株式会社アイスタイル 執行役員 兼 ブランド体験ユニット長 天野 博之氏、アイスタイルデータコンサルティング株式会社 取締役 山内 健太郎氏をお招きし、「ブランド体験をアップデートするデータ×AI最新事例〜アイスタイルが考えるCXのカタチとは〜」をテーマに、エグゼクティブ向けイベント「Lazuli Executive Salon Vol.6」を開催しました。2025年4月8日に設立を発表された、天野氏が代表取締役社長を務めるアイスタイルデータコンサルティング株式会社の立ち上げ背景を含め、アイスタイル社のデータ活用について講演いただきました。また、今回はデータ×プロトタイミングでCXのPoC伴走を行うコンサルティングファームであり、Lazuliのパートナーでもある、株式会社NODEと共催で実施いたしました。

マーケットを取り巻く状況とデータの価値

まずはじめに、アイスタイル 天野氏、アイスタイルデータコンサルティング 山内氏より、アイスタイルが実践するデータ活用の最新事例についてご講演いただきました。

近年、お客様の多様化が進み、情報そのものの変容性も高まっています。これまでのようにテレビCMなど一方的なメディアで購買行動が起きるのではなく、SNSやクチコミ、ECなど様々な経路から情報が流通するようになった中で、「どのようにお客様にアクセスし、使っていただく、ブランドを愛していただくか」が重要だと指摘しました。

アイスタイルは、クチコミメディア「@cosme」から始まり、現在は店舗・ECを展開しており、今や国内最大級の美容データプラットフォームを持っています。クチコミメディア・EC・リアル店舗の3領域を統合した顧客接点を構築しており、そこから得られるデータを1IDで連携しています。店舗で接点を持ったユーザーがアプリやメディアに流入し、ECを利用するような体験設計を整備してきました。

また、アイスタイルでは、「購買に至らなかった行動」=非購買データの蓄積に注力しています。顧客がどの商品を見て、どのクチコミに反応し、何と比較した上で何を選ばなかったのか。そこから得られる気づきが、ブランドの成長戦略を立体的に支えると述べました。

「感性×データ」で意思決定の質を高める

データをどう意思決定プロセスに組み込むかということについて、天野氏はブランドにデータを提供するだけでなく、データから示唆や仮説を出し、ブランドの営業・商品企画・研究開発など多様な立場の方々と一緒にディスカッションするというプロセスが大事だと説明しました。

また、天野氏は、感性とデータの掛け合わせも重要であるといいます。データで見えない部分は、商品のネーミングや陳列といった感性や経験と合わせて見ることで、仮説の精度と意思決定の納得感を高めます。データと現場の感性を繰り返し見て分析することが次の新しい価値を作ると述べました。

さらに、アイスタイルは、意思決定の変革のスピードを上げていくために、@cosmeに蓄積されたクチコミをAIで分析し、マーケティングの意思決定をサポートするSaaS型ツール「@cosme Copilot」も開発しているそうです。

このような取り組みでアイスタイルは、ブランド体験を届け、顧客が集まり、高品質なデータが蓄積され、ブランド体験を戦略レベルでアップデートすることが可能になっているといいます。

このようなインサイトから、アイスタイルでは2024年7月よりデータコンサルティングビジネスをスタートし、2025年よりアイスタイルデータコンサルティング株式会社として分社化し、本格的に同ビジネスの展開を開始しています。

データ×AI時代の組織体制とアーキテクチャの最適化

第二部では、「データ×AI時代の組織体制とアーキテクチャの最適化」をテーマとして、国内大手メーカー/リテールの中でDXの推進やマーケティングに取り組む企業の方々とともにディスカッションが行われました。

データ活用に向けた組織設計・人材教育の重要性

参加者の方々から、自身の所属組織におけるデータ活用のゴールと、その達成に向けた現在の進捗状況について共有をいただきました。中でも、「データを蓄積することはできているが、活用や組織内での連携には課題がある」という声が多く挙げられました。

特に、「顧客価値を高めるためのデータ活用には、組織変革や人材育成が不可欠である」との認識は、参加者の間で一致しており、ビジネスサイド・エンジニアサイドそれぞれに対して実施されている研修について、さまざまな事例が共有されました。

データ×AIで価値創造をするには

一部の部署にとどまらず、全社的にデータやAIの活用が当たり前になる状態が理想であるという認識は、参加者の間で一致している一方で、社内に蓄積されているデータの構造を十分に理解していないと、AIを適切に活用した分析ができないという懸念も共有されました。

また、AIの活用には大きく分けて「業務効率化」と「新たな価値創造」の2つの側面があり、それぞれに対する成功事例や難しさについて、さまざまな意見が挙げられました。特に「新たな価値創造」の文脈では、AIに分析を任せきるのではなく、仮説検証プロセスの中でPDCAを回していくことの重要性が示唆されました。

まとめ

今回のExecutive Salonでは、アイスタイルが運営する@cosmeプラットフォームのクチコミ、店舗、ECから得られた高品質な商品・ユーザー・購買データの活用が、顧客理解の深化やブランド体験の設計をつくっていることが共有されました。

同時に、データを活用した意思決定を行うためには、組織体制の整備や各部門との共創、社内教育、といった組織的な取り組みが不可欠であるという認識で一致しました。

アイスタイルの、データ基盤の整備とそれを活用した意思決定支援の仕組みは、メーカーやリテールにとって実践に移すためのヒントとなるのではないでしょうか。

Lazuliは、リアルタイムな商品データの取得・整備を行い、意思決定や顧客体験のアップデートを実現する仕組みづくりを引き続き支援してまいります。“価値創造基盤”として商品マスタの役割を高めることで、データドリブンな経営の実現に貢献していきます。


株式会社NODEについて

株式会社NODEは、2019年に創業された、CXおよびCRMを中心としたコンサルティング会社です。リテール、消費財、金融、自動車など多様な業界と連携し、商品やブランドの価値を起点としたCX・CRMの再設計を支援しています。
https://node-labo.com/


Lazuli株式会社について

Lazuli株式会社は2020年7月設立のスタートアップで、企業のプロダクトデータを統合、整備し、データ/AI活用を支援するSaaS「Lazuli PDP」を提供しています。高度なAI/ML技術により、商品データの収集、構造化、連携を可能にし、製造・小売業のデジタル化を促進します。Lazuli PDPは、複雑なデータ処理を自動化し、部門間のデータサイロを解消します。企業が一貫性ある商品情報を提供できることで、顧客体験の向上とデータ活用の最適化に貢献しています。

Lazuli PDPとは:https://lazuli.ninja/product-data-platform/