Lazuli PDPを実際に導入いただいている企業の方に、導入の決め手や実際に運用している事例、解決できた課題などをうかがうシリーズ。今回は、スポーツ専門店「スポーツオーソリティ」を全国展開する”株式会社メガスポーツ(以下メガスポーツ)”の取締役事業基盤構築本部長の上條勝義さんにお話をうかがいます。
商品マスタ管理をシステム化したことでCVRも向上
--最初に上條さんが統括されている部署について教えていただけますか。
上條:私は現在、メガスポーツの事業基盤構築本部の本部長職に就いています。事業基盤機構は、システム部、ロジスティクス部、DX推進室、業務改善部を持つ組織です。システム部だけだと、どうしても一方通行的な開発になってしまうのですが、DX推進室や業務改善部を併せ持つことでユーザーに寄り添った開発ができています。
--御社においてLazuli PDPを導入された背景についてお話を聞かせてください。
上條:弊社は小売が中心です。接客ができればその場でお客さまの質問に回答できますし、商品も手に取ってもらって実際にモノを見てもらったり、試着していただくことも可能です。ですが、ECとなるとそうはいきませんよね。フロントのデザインを変えたり、UI/UXの改善など、購入に至るまでの接客にあたる部分はカートに行くまでにお客さまが離脱しないようにするためには、とても重要だと考えています。
こうした課題を乗り越えるために商品マスタを調べてみると、競合他社に比べて劣っていることがわかりました。例えば、サイズや素材、セールスコピーなどです。従来は、こうした問題に対して社員2名とアルバイト数名体制の手作業で対応をしてきたのですが、対象アイテムが年間5万点あるとやはり限界があって、どうにかシステムで対応できないかを模索していました。こうした中、Lazuli PDPを知りました。
私は前職で靴の小売りにおり、ECも見ていたことがあります。靴の場合、縦と横のサイズがあるぐらいで、自分たちの中でデータ処理はなんとかまかなえる状態でした。ですが、例えばテントだったら「奥行、高さ」がありますし、バットだったら「素材、長さ、重さ」といったように、それぞれに違ったデータが必要になってきます。カテゴリーによって必要なデータが異なってくるので、それを全部手作業でやるのはさすがに無理があると思っていました。
--実際にLazuli PDPをご導入いただいて、印象はいかがですか?
上條:最初はクローリングに必要なキー項目(JANにするのか、品番にするのかなど)を見つけるのに苦労した事実はあります(笑)。ただ、それも最初の頃だけで、理解が進めば精度も高くなってきているともわかりました。実際にサイトを見てもわかりやすくなっているという手応えもあります。
CVR(コンバージョンレート)の数字を具体的に申し上げることはできないですが、向上していることは確かです。これまでは価格を下げることぐらいしか手段がなかった中、Lazuli PDPを導入後、CVR向上につながったのは成果の1つだと考えています。
--Lazuli PDPを活用することで、もっと改善できればいいなと考えられていることはありますか?
上條:商品の採寸情報はマストで現在でも対応はしていますが、そこから先が大事だと思っています。「お客さまにいかに快適に購入していただけるか」を主眼に置いて、サイトの整備やタグの導入はしていきたいと考えています。また、商品説明についてもLazuli PDPを使って作っているマスタをベースにして、より整った商品情報の作成やECサイトの作成をしていきたいです。
いずれにしても、商品マスタがないと先に進まないことですので、そういう意味で大きな一歩を踏み出せたのは間違いないですね。実際に、Lazuli PDPの活用を始めてから人員工数の削減に繋がって、ほかの業務に割り当てることも実現できています。
5年間でEC売上2倍を目指すために、第2フェーズのリニューアルポイントも進行中
--商品マスタに対するリソース削減にLazuli PDPが貢献できたと聞いて、うれしく思います。
上條:どこの企業にも店舗マスタ、人事マスタなどを始め、「マスタ」と呼ばれるものはたくさんあると思うんです。ですが、このマスタをきちんと整備できないと、分析も販促もできませんし、問題点の抽出も難しいと思います。しかも、後からマスタに追加するのはかなり大変なんです。
この点はわかってはいたのですが、ECの観点で見ると、店舗で必要とされるマスタとECのお客さまが必要とされるマスタには相違があるのも事実なんです。社内の意識改革は必要でしたが、ECを伸ばすために必要不可欠であることを理解してもらいました。
私はメガスポーツに入って3年目なんですが、入社のタイミングで社長が変わったんです。現社長はECの経験がある方で、商品マスタの重要性と意識が変わったのも追い風になりました。これからLazuli PDPの活用を推し進めて、5年間でECの売上を2倍にする目標を持っています。
--御社では店舗とECの両面で事業を展開されていますが、この2つをつなぐのは苦労されたのではないですか。
上條:最近、店舗とECの会員統合が完了したところで、現在はお客さまの会員ID1つでECサイトでのお買い物やポイントの確認が可能です。店舗のID-POS情報とECサイト上の情報が一致しない問題があったんですが、今回のリニューアルでこの問題も解決できました。
--ECサイトは競合他社が多数ある状況だと思いますが、自社サイトで変えていきたい点などはありますか?
上條:例えば、ポイント付与など、競合他社がすでに導入していて弊社でできていないことは着手しており、8月のリニューアルで実現しました。こうしたことに加えて、商品マスタの整備を行い、相乗効果で売上向上につなげていきたいと考えています。
--今後、メガスポーツとして目指していく方向にはどういったことがありますか?
上條:弊社では“Wellness, Happiness.”というフィロソフィーを標榜しており、健康を中心とした「ウェルネスeコマース」といったEC事業をお客さまに提供していきます。従来のスポーツアイテムなどに加えて、お客さまのライフスタイルを提案できるような店舗やECサイトを展開していければと考えています。
すでにスポーツオーソリティのECサイトがありますが、昨年新たに「KATION」というサイトを立ち上げました。KATIONでは主に女性をターゲットとして、ヘルス&ウェルネスに特化したアイテムを多数取り扱っています。
スポーツオーソリティのサイトはモノを売ることに特化しているECサイトですが、KATIONでは動画配信やイベントを通して、モノとコトの両面から情報を発信していく性質を持っています。
--ECサイトの強化でこれから取り組んでいきたいことについてはいかがですか?
上條:画像ですね。現状、静止画の画像しかないんですが、テントを例に挙げると「中に入った様子を見たい」「360度見回してみたい」などのニーズがありますよね。
例えば、マンション関連のサイトでは、部屋の中に入って360°見回せることは標準的にできている一方で、当社のサイトにおいてはそこまでになっていません。こうした点を今後お客さまのニーズに合わせて取り組んでいこうと思っています。
また、試着感についても改善できればと考えています。メガネのECサイトだと、自分の顔を撮影して希望のメガネを選ぶことで掛けたときの様子がわかりますよね。こういったことを実現したいなと。アパレルアイテムの売上を伸ばしていくためにも、この点は着手したいですね。
--最後に同じ業界の方々に向けてメッセージをいただけますか。
上條:商品マスタの整備は、各社のみなさんが苦労して時間をかけてらっしゃると思います。これは誰がやっても同じ作業になるかと思うんです。この点では、各社の方々がそれぞれ整備をするのではなく、取引先様やメーカー様を含めて商品マスタの基盤を業界で構築できるようになればいいですよね。
※ ページ上の内容は2023年8月時点の情報です。
写真・大塚まり
当社では、プロダクトデータという観点から皆様が扱う商品の基礎データの拡張・加工をお手伝いしております。ご興味をお持ちいただいた方はぜひこちらよりお問い合わせください。
Lazuli PDP サービスサイト:https://service.lazuli.ninja/