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リテール&メーカーの未来を創る欧州トレンド〜Shoptalk Europe・Viva Technologyから読み解く AI×データで導く顧客体験の進化〜 – Lazuli Executive Salon Vol.8 開催レポート

リテール&メーカーの未来を創る欧州トレンド〜Shoptalk Europe・Viva Technologyから読み解く AI×データで導く顧客体験の進化〜 – Lazuli Executive Salon Vol.8 開催レポート

メーカー

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小売

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製造

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データ管理

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生成AI

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顧客理解

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2025年8月6日、Lazuliは「リテール&メーカーの未来を創る欧州トレンド 〜Shoptalk Europe・Viva Technologyから読み解く AI×データで導く顧客体験の進化〜」をテーマに、エグゼクティブ向けイベント「Lazuli Executive Salon Vol.8」を開催しました。株式会社顧客時間 伴 大二郎氏、Lazuli株式会社 萩原 静厳が登壇し、モデレーターには株式会社顧客時間 奥谷 孝司氏を迎えました。イベントでは、6月2日〜4日にスペイン・バルセロナで開催された「Shoptalk Europe 2025」と、6月11日〜14日にフランス・パリで開催された「Viva Technology 2025」の内容が報告され、欧州における最新の消費者動向とテクノロジー潮流が共有されました。

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消費者行動の変化と「価値ある選択」のデザイン

まず、株式会社顧客時間 伴氏より Shoptalk Europe 2025 について報告がありました。

消費者は単なる機能や価格比較ではなく、「価値ある選択」を求める傾向を強めているといいます。以下の4つの新しい消費パターンが提示されました。

  • Spaving(スパービング):節約(Saving)と消費(Spending)の間に位置する価値観。価格に敏感になりながらも「満足」や「特別感」への支出は惜しまない。

  • Cultural Currency(カルチュラル・カレンシー):ブランドとの価値観共鳴や文化的な結びつきが購買理由となる。

  • Wellness Overwhelm(ウェルネス疲れ):健康や自己改善を追求しすぎたことで、選択疲れ・情報疲れが起きている。

  • Vibecession Spending(ヴァイブセッション消費):倹約ムードの中でも「気分が上がる」ことにお金を使いたいという行動。

これに対して企業は「体験」や「感情」を提供価値の中心に据え、データやAIを活用し始めています。たとえば LVMH は「成功するのは最も多くデータを持つ企業ではなく、誰もがそのデータを使いこなせる企業である」という考えの下、全社的に活用可能なエモーショナルドリブンな生成AIプラットフォーム「MAIA」を導入しています。また JD Sports は、クイズやアンケートを頻繁に実施して顧客のライフスタイルをプロファイリングし、ロイヤリティプログラムを「データインフラ」として再構築していると説明しました。

全体を通じて、競争優位は「機能や価格」ではなく「意味」をデザインできるかどうかにあり、データは「複雑な文脈を読み解く材料」、AIは「その意味を体験へ翻訳する道具」として活用されていることが報告されました。

顧客体験を変えるAIとデータの新潮流

続いて、株式会社顧客時間 伴氏と Lazuli株式会社 萩原よりViva Technology 2025 について報告がありました。

伴氏は特に欧州におけるAI主権確保の動きを強調し、「欧州はAIの消費国ではなく創造国になるべきだ」という NVIDIA CEO Jensen Huang 氏の発言が象徴的であったと紹介しました。

さらに L’Oréal の事例として、同社が Longevity(肌寿命などの持続性)・Sustainability・Beauty Services・Creativity & Culture の4領域にテクノロジーを集中させていることが報告されました。ヒトの皮膚を忠実に再現したバイオスキンを開発し、AI×バイオテックで「予防」を重視した新しい美容科学を推進していると説明しました。

萩原からは以下の3つのトピックが報告されました。

1. AI Agents Everywhere
AIエージェントが顧客対応や営業支援に組み込まれる時代が到来していると説明しました。PoCを超えて本番運用に踏み出す企業が増えており、L'Oréal は「Beauty Genius」や AR トライオンを通じて検索から会話、体験型購買へと進化する顧客体験を実現しています。また Salesforce、LinkedIn、Sephora は営業効率や顧客満足度の向上に成果を上げる一方で、信頼性やスケーラビリティの課題も浮き彫りになっていると話しました。さらに SEO から GEO(Generative Engine Optimization)への変化が進む中で、情報構造やメタタグの最適化が不可欠であり、AIが業務全般に広がる中で人間の関与とガバナンスが今後の鍵になるとまとめました。

2. Growing Product Data for Gen AI
生成AI時代では、商品情報は「つくる」から「育てる」へとシフトしています。データは「自動生成」から「目的別最適化」へ進化しており、「誰に向けた」「どのチャネル向け」の商品説明かを判別し、用途別に最適化するアプローチが多く見られると説明しました。

3. Global Startup Scene
Viva Technology には 120カ国以上から出展があり、271カ国から参加者が訪れました。特にサウジアラビアからの出展者数が最多であったほか、韓国のプレゼンスの高さも印象的であったと報告しました。

グローバルな視点で捉えるCX変革

第二部では、国内大手メーカー/リテールのDX推進やマーケティングを担うCIO/CDOをはじめとした意思決定者とともにディスカッションが行われました。

ヨーロッパのビジネス文化はガバナンスとフレームワークを重視し、各国の違いを運用で吸収する点に特徴があると指摘されました。広告費の定義やリテールメディアの目的を明確にし、グローバルフレームワークを整備する姿勢が強調されました。一方、アメリカはトップダウン型で、上層部の決定がそのまま実行される傾向が強いとされました。

マーケティング戦略においても、ヨーロッパはブランド価値向上を重視するのに対し、アメリカはプラットフォーム化による収益獲得を志向する点が異なると紹介されました。参加者からは、こうした地域差は国家間だけでなく日本国内にも存在し、戦略策定において無視できないとの意見が示されました。

AIと顧客体験の未来

議論はAIが顧客体験をどのように変革するかにも及びました。購買行動の変化に伴い、「効率的な買い物」と「新しい出会いの創出」という二つの方向性が存在し、AIは双方で役割を果たす必要があると指摘されました。特に、感情を動かす買い物体験や、強い関心を持つ「ギーク」な消費者に対し、企業がその情熱の対象となれるかどうかが今後のマーケティングにおいて重要になると整理されました。

AIは単なる効率化のツールにとどまらず、顧客の感情や価値観、行動を深く理解し、パーソナライズされた体験や対話を提供できる点が強調されました。あわせて企業内部のデータ活用を促進し、その基盤を強化することで、顧客体験全体の質を高める可能性があるとの意見も示されました。

まとめ

今回の Executive Salon では、Shoptalk Europe と Viva Technology を通じて示された消費者行動の変化と AI・データ活用の潮流が共有されました。消費者は節約と感情的満足、文化との結びつき、体験消費など新たな傾向を示し、企業は「意味ある購買体験」の提供へと移行しています。

欧州企業は全社員が使えるAI/データ活用基盤の構築やパーソナライズを推進し、AIを顧客価値創造の手段として先進的に活用していることが特徴的でした。あわせて、体験設計の重要性も議論されました。こうした動向は、日本のメーカーやリテールにとって大きな示唆となるはずです。

Lazuliはリアルタイム商品データの整備を通じ、“価値創造基盤”としての商品マスタの役割を高め、データドリブンな経営を支援してまいります。

Lazuli株式会社について
Lazuli株式会社は2020年7月設立のスタートアップで、企業のプロダクトデータを統合、整備し、データ/AI活用を支援するSaaS「Lazuli PDP」を提供しています。高度なAI/ML技術により、商品データの収集、構造化、連携を可能にし、製造・小売業のデジタル化を促進します。Lazuli PDPは、複雑なデータ処理を自動化し、部門間のデータサイロを解消します。企業が一貫性ある商品情報を提供できることで、顧客体験の向上とデータ活用の最適化に貢献しています。

Lazuli PDPとは:https://corporate.lazuli.ninja/product-data-platform/