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約40年前から始まっていた「データ標準化」――プラネットとファイネットの歴史から考える、商品情報整備のこれから

約40年前から始まっていた「データ標準化」――プラネットとファイネットの歴史から考える、商品情報整備のこれから

メーカー

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小売

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データ管理

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商品マスタや取引データの形式がメーカーごと、卸売企業ごとに異なり、その突き合わせや変換に多くの工数がかかる。

商品情報やマスタデータを扱う企業では、現在でもこうした課題が少なくありません。

しかし実は、企業ごとに異なるデータを共通化し、業界全体で効率的に利用できるようにする取り組みは、約40年前から行われてきました。

代表的な存在が、日用品・化粧品業界を中心に情報インフラを構築してきた株式会社プラネットと、酒類・加工食品業界の株式会社ファイネットです。

競合する企業同士が共通のインフラをつくり、それを時代に合わせて更新し続ける。

両社の約40年の歩みをたどると、現在の商品情報・商品マスタをめぐる課題にも通じる、データ標準化の重要なヒントが見えてきます。

そもそも「業界標準化」とは?

業界標準化とは、企業ごとに異なっていたデータ形式や項目、コード、業務ルールなどを、業界内で共通して利用できる形に揃えていく取り組みです。

例えば、メーカーと卸売企業の間で受発注データを交換するとき、企業ごとにデータ項目やフォーマットが異なれば、取引先ごとにシステムを改修したり、データを変換したりする必要があります。

取引先が増えるほど対応する仕様も増え、メーカー側にも卸側にも大きな負担が発生します。

そこで、各社が個別の仕様を持ち込むのではなく、共通のコードやフォーマットを定め、それに合わせてデータを交換する。

これによって、企業間取引の効率化を図るのが業界標準化の大きな目的の一つです。

日本の日用品・化粧品業界や酒類・加工食品業界では、1980年代からこうした考え方に基づく共通インフラの構築が進められてきました。

プラネットとは? 日用品流通を支えるEDI基盤

株式会社プラネットは、日用品・化粧品業界を中心に、メーカーと卸売企業などをつなぐEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)の基幹プラットフォームを構築・提供・運用している企業です。

EDIとは、注文書や請求書など、企業間の取引に必要な情報をコンピュータ同士で電子的に交換する仕組みです。

プラネットは1985年8月、ライオン、ユニ・チャーム、資生堂、サンスターなど日用品・化粧品メーカー8社とインテックの共同出資によって設立されました。

設立の背景にあったのが、メーカーと卸売企業の間で利用するシステムやデータ交換仕様が統一されていないという課題でした。

なぜ競合メーカーが手を組んだのか

企業ごとに異なる仕様でデータ交換を行えば、取引相手が増えるたびに個別対応が必要になります。

そこでプラネットが目指したのが、メーカー・卸売企業間のネットワークを標準化し、業界全体で合理的に利用できる共通インフラを構築することでした。

競合するメーカー同士であっても、商品そのものでは競争しながら、データ交換という「土台」は共通化する。

この発想によって、1986年には基幹EDIサービスがスタートしました。

その後、プラネットの利用領域は日用品・化粧品だけでなく、ペット関連商品やOTC医薬品などにも広がり、現在では全国約1,600社がEDIを利用する業界インフラへと成長しています。

また、EDIだけでなく、1997年から商品データベースも提供するなど、商品情報流通の効率化にも取り組んできました。商品データベースは2026年3月にプラネットでのサービスを終了し、同年4月から株式会社プロダクト・レジストリ・サービスが運営する「PRS-DB」へと機能が継承されています。

ファイネットとは? 酒類・加工食品業界を支えるVAN

プラネットとほぼ同じ時期、酒類・加工食品業界でも共通の情報インフラをつくる動きが始まりました。

株式会社ファイネットは、酒類・加工食品業界を中心に、メーカー・卸売企業・資材サプライヤー間のデータ交換を支えるVANサービスを提供する企業です。

VAN(Value Added Network)とは、企業間のデータ交換を仲介するネットワークサービスです。

ファイネットは1986年4月、冷凍食品メーカーを中心とする8社の共同出資によって設立されました。翌1987年には加工食品メーカー5社が加わり、13社体制となっています。

「競争は店頭で、インフラは共有で」

当時の食品業界でも、企業間データ交換の必要性は認識されていたものの、システム投資や移行の負担、商習慣を変える難しさなどがあり、業界共通のVANを構築することは容易ではありませんでした。

それでも、競合する食品メーカーが共同で共有情報インフラを構築しました。

ファイネットが掲げてきた考え方を象徴するのが、

「競争は店頭で インフラは共有で」

という言葉です。

商品やサービスでは競争する。一方、企業間でデータを交換するための基盤は共有する。

この思想は、プラネットの成り立ちとも共通しています。

現在、ファイネットには酒類・加工食品業界の約2,500社が参加し、年間約33億件のデータ交換を行う、業界最大規模のVANサービスへと成長しています。

約40年間使われ続ける理由――標準化は「作って終わり」ではない

プラネットとファイネットの歴史でもう一つ注目したいのが、共通基盤を一度構築して終わったわけではないことです。

社会や取引環境、通信技術が変化すれば、業界標準にもアップデートが求められます。

プラネットは基幹EDIの通信基盤やサービスを継続的に刷新し、EDIで扱うデータも受発注だけでなく、仕入、販売、請求、在庫などへ広げてきました。

ファイネットも1996年のFAX変換サービス、2000年のWebEDIなど、利用企業の環境や技術の変化に合わせてサービスを更新してきました。

つまり、標準化とは「正しいフォーマットを一度決めること」ではありません。

新しい商品、新しい取引方法、新しいシステムやテクノロジーが登場するたびに、標準そのものを更新し、企業が使い続けられる状態を維持する。

標準化とは、完成物ではなく継続的に運用する仕組みである。

両社が約40年にわたって業界インフラとして利用され続けている背景には、この考え方があります。

取引データの標準化から、「商品情報そのもの」の整備へ

プラネットやファイネットの取り組みによって、受発注、仕入、販売、請求といった企業間の取引データを共通の仕組みで交換する環境は大きく発展してきました。

また、プラネットの商品データベースをはじめ、商品情報を業界横断で共有・活用するための取り組みも長年行われています。

一方、現在の商品情報を取り巻く環境を見ると、別の難しさが生まれています。

企業が管理・活用する商品情報は、商品名やJANコード、規格といった基本情報だけではありません。

商品説明、原材料、スペック、画像、カテゴリ、用途、特徴、ECサイト向けの情報など、その種類は増え続けています。

しかも、それらの情報は基幹システムだけに存在するとは限りません。

ExcelやCSV、PDF、画像、メーカーから提供された資料、Webサイトなど、さまざまな場所・フォーマットに分散しています。

同じ商品であっても、

  • システムによって商品名やカテゴリが異なる

  • メーカーによって属性名や記載方法が違う

  • 同じ意味の情報が異なる表現で登録されている

  • 必要な属性や画像が欠けている

  • ECや営業、マーケティングなど利用目的によって必要な情報が異なる

といった問題が起こります。

こうした状況では、単に「共通フォーマットを決める」だけでは十分ではありません。

異なる場所から商品情報を集め、同じ商品を特定し、表記や属性を揃え、不足している情報を補い、それぞれの利用先で使える状態に整える必要があります。

ここに、現在の商品情報整備における新たな課題があります。

AI時代、商品情報の重要性はさらに高まる

そして、この課題は生成AIやAIエージェントの普及によって、さらに重要になっていくと考えられます。

これまで商品情報は、人がECサイトやカタログを見て商品を比較・検討するための情報として整備されてきました。

今後はそれに加えて、AIが商品情報を理解し、条件に合った商品を検索・比較・推薦する機会が増えていきます。

そのときAIが参照する商品情報に欠損や表記ゆれがあったり、商品の特徴が十分に構造化されていなかったりすれば、本来適切な商品であっても選択肢に入りにくくなる可能性があります。

つまり商品情報は、単なる「社内で管理するマスタデータ」から、顧客やAIに商品を正しく理解してもらうための重要なデータ基盤へと役割を広げつつあります。

プラネットとファイネットの先に、Lazuliが見据えるもの

約40年前、プラネットやファイネットが向き合ったのは、「企業ごとに異なるデータ交換の仕組みを、どうすれば業界全体で効率化できるか」という課題でした。

その答えの一つが、競合企業同士であっても共通のインフラを持ち、標準を継続的に更新していくことでした。

現在、商品情報の世界でも似た構造の課題があります。

企業やシステムごとに分散した商品情報をどう集めるのか。

表記や属性の違いをどう揃えるのか。

不足する情報をどう補完するのか。

そして、EC、マーケティング、営業、AIなど、さまざまな用途で活用できる商品情報をどう維持していくのか。

Lazuli株式会社は、商品情報整備プラットフォームの開発・提供を通じて、こうした課題の解決に取り組んでいます。

プラネットやファイネットが築いてきた「企業の壁を越えてデータをつなぎ、共通の基盤として活用する」という思想。

その考え方を、より複雑化する商品情報の領域へと広げていくことが、Lazuliが目指す未来の一つです。

まとめ――約40年前の標準化から学べる3つのこと

プラネットとファイネットの約40年にわたる取り組みから、現在の商品情報整備にもつながる3つの示唆が見えてきます。

1. 競争領域と共通化する領域を分ける

商品やサービスでは競争しても、データ交換などの基盤は共通化できる。業界全体の効率化には、この切り分けが重要です。

2. 標準化に「完成」はない

データやテクノロジー、利用方法が変われば、必要な標準も変化します。標準化は一度実施するプロジェクトではなく、継続的に更新する仕組みとして考える必要があります。

3. データを「交換できる」だけでなく「活用できる」状態へ

企業間の取引データを効率的に交換する基盤が発展してきた一方で、商品情報はより多様化・複雑化しています。

これから求められるのは、商品情報を単に保有するだけでなく、企業やシステムを越えて整理・統合し、人にもAIにも活用できる状態をつくることではないでしょうか。

約40年前に始まった業界標準化の取り組みは、決して過去の話ではありません。

AIによって商品情報の使われ方が大きく変わろうとしている今、「商品情報をどう整え、どうつなぎ、どう使える状態にするのか」という新しい標準化のあり方が問われています。

商品情報管理の効率化や、AI時代に向けた商品データ基盤の整備にご興味をお持ちの方は、Lazuliのサービス資料もぜひご覧ください。