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お客様の生活に貢献し続ける大手スーパーマーケット『イズミ』のDX戦略〜商品データ×顧客データ×AIで実現する顧客体験とは〜 – Lazuli Executive Salon Vol.7 開催レポート

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Jul.18.2025
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2025年6月12日、Lazuliは株式会社イズミ アーキテクト 舛永裕一郎氏をお招きし、「お客様の生活に貢献し続ける大手スーパーマーケット『イズミ』のDX戦略〜商品データ×顧客データ×AIで実現する顧客体験とは〜」をテーマに、エグゼクティブ向けイベント「Lazuli Executive Salon Vol.7」を開催しました。また今回は、株式会社ブレインパッドとの共催で実施いたしました。

顧客理解と人材育成で進めるイズミのDX

はじめに、イズミ 舛永氏より「商品データ×顧客データ×AIで実現する顧客体験」をテーマにご講演いただきました。

顧客DNA×商品DNAで挑む顧客理解

従来は「30代女性」など属性による一括りの分析が主流でしたが、今や同じ性別・年代であっても価値観や購買動機は大きく異なります。アンケートにもバイアスがかかることが多く、ID-POS分析でも「なぜその商品を選んだのか」という深層心理までは見えてきません。

こうした状況を受けて、イズミでは、顧客の価値観や購買傾向を可視化する「顧客DNA」と、商品特徴を構造化した「商品DNA」を掛け合わせることで、より精緻な購買推計に取り組んでいます。加えて、課題に直結した目的別のクラスタリングで、分析を施策に繋げていると舛永氏は説明しました。

(左:株式会社イズミ 舛永 裕一郎氏、右:ブレインパッド株式会社 竹野 雄尋氏)


データ分析体制と人材育成

もう一つの大きなテーマとして舛永氏は「人材と組織体制の限界」を挙げました。イズミでは現在、地方企業としての人材確保の難しさを感じているといいます。

舛永氏は、プログラミングスキルの前に、まずデータの特性と価値を理解する力と、事業への応用力が必要だと語りました。分析を「現場の行動」に変えるためには、データサイエンティスト自身がビジネスを深く理解し、関係者と丁寧にコミュニケーションを取ることが欠かせないといいます。

現在イズミでは、専門職制度の導入や外部人材ネットワークの活用を進めながら、明確な目的設定と定期的なフィードバックを実施しています。少数精鋭でも実行可能な、「使われる分析」の仕組みづくりを模索しています。

データが変える小売の現場

続いて、ブレインパッドの竹野氏より、「データが変える小売の現場〜データサイエンティストがもたらす変化とは〜」をテーマにご講演いただきました。

竹野氏は、データ活用は【分類】【予測】【最適化】【生成】【検出】の5種類に大まかに分けられるといいます。そして、目的に応じてこの5種類を組み合わせる(掛け合わせる)ことで、業務に具体的な変化をもたらすことができると語りました。たとえば、【分類】×【予測】では顧客データに基づきロイヤル顧客定義・【分類】します。そして、ロイヤル化に移行する因子を特定し、「初回購入商品が〇〇の方は、定着のきっかけは〇〇」、「購入後定着しない顧客は、△△のカテゴリの商品を訴求すると離脱率の低下の可能性あり」などを「予測」し、ゴールデンジャーニーの設計を行うことができると説明しました。

さらに竹野氏は、分析結果をもとに現場でどう動くかまで落とし込むことが重要であり、そのためには組織設計が欠かせないと指摘しました。

顧客体験を良くするために持つべき組織とデータ

第二部では、「ビジネスをさらに高めるため、顧客体験を良くするために持つべき組織・データには何があると考えるか?」をテーマとして、国内大手メーカー/リテールの中でDXの推進に取り組む企業の方々とともに、ディスカッションが行われました。

データ活用に必要な人材と組織体制のあり方

参加者からは、「データ活用の重要性は認識されているものの、人材の確保や育成に課題を感じている」との声が多く聞かれました。一方で、どの企業も「社内の人材をどう育てるか」「異なる職種間でどう連携を図るか」といった、組織設計上の課題を抱えていることも共有されました。企業によっては、専任組織の設置やプロジェクト制の導入など、柔軟なアプローチが試みられていることも紹介されました。

また、ビジネスとテクノロジーの両方を理解し、橋渡しをする「翻訳者的な存在」が社内で求められているとの指摘もありました。こうした人材をどう育て、どう配置するかは、今後のデータ活用の広がりに直結するテーマであり、各社で模索が続けられていることが共有されました。

顧客理解を深めるための協働のあり方

小売業とメーカーがそれぞれ持つデータを活用し、よりリアルな顧客理解を目指すためには、両者の連携が重要になるという認識が共有されました。これまでの「理想の顧客像」から脱し、実際の購買データに基づいたマーケティングへの転換が求められているという意見が多く出されました。

一方で、POSデータなどの共有には壁があることや、分析スキルの偏在も課題として挙げられました。最終的には、データ分析を通じて「どんな顧客体験を提供するか」を考えることが重要であり、単なる数値管理ではなく、商品やサービスの開発につなげる視点が求められていることが示唆されました。

まとめ

今回のExecutive Salonでは、イズミの舛永氏より、顧客DNA×商品DNAによる顧客理解や、目的別クラスタリングなど、小売現場に根差したデータ活用の実践が共有されました。立地・人材・組織面での制約を抱えながらも、少数精鋭で“使われる分析”を実現する取り組みは、大きなヒントになるのではないでしょうか。

また、ディスカッションでは、データ活用における組織設計や人材の育成、多職種連携の重要性が改めて確認されました。データを活かすのは仕組みであり、人であるという認識は、参加者の間で一致していました。

Lazuliは、リアルタイムな商品データの取得・整備を通じて、顧客理解の基盤づくりを支援します。“価値創造基盤”として商品マスタの役割を高めることで、データドリブンな経営の実現に貢献していきます。


株式会社ブレインパッド
株式会社ブレインパッドは、データ活用の専門家集団として、企業のDX推進や経営課題の解決を支援しています。2004年の創業以来、日本初の “対象業界を問わない総合データ分析サービス企業” として事業展開し、のべ 1,500社以上のデータ活用プロジェクトをご支援しています。


Lazuli株式会社について
Lazuli株式会社は2020年7月設立のスタートアップで、企業のプロダクトデータを統合、整備し、データ/AI活用を支援するSaaS「Lazuli PDP」を提供しています。高度なAI/ML技術により、商品データの収集、構造化、連携を可能にし、製造・小売業のデジタル化を促進します。Lazuli PDPは、複雑なデータ処理を自動化し、部門間のデータサイロを解消します。企業が一貫性ある商品情報を提供できることで、顧客体験の向上とデータ活用の最適化に貢献しています。
Lazuli PDPとは:https://lazuli.ninja/product-data-platform/