2024年11月13日、Lazuliはパナソニック株式会社(以下、パナソニック)コンシューマーマーケティングジャパン本部 PXドリブンセンター DX企画部 データマネジメント総括 兼 データ管理・運用課 課長 吉本 健二 氏、同社 コンシューマーマーケティングジャパン本部 PXドリブンセンター DX企画部 デジタル総括 山下 亮 氏、クラスメソッド株式会社 取締役 兼 プリズマティクス株式会社 CEO 濱野 幸介 氏をスピーカーとしてお招きし、「お客様との継続的なつながりを重視するパナソニックが注目する『プロダクトデータ』とは」をテーマに、エグゼクティブ向けイベント「Lazuli Executive Salon Vol.4」を開催しました。
Contents
国内大手メーカー/ブランド/リテールの中でデータやAIを活用したマーケティング/CX改善に取り組む企業の方々にお集まりいただき、メーカー/ブランドが顧客とつながり続けるために取り組むべき、国内家電事業における商品データ・顧客データを活用した顧客体験の考え方やデータ戦略についてディスカッションいたしました。
継続的なつながりを実現するプロダクトデータ活用
パナソニックにおけるCV向上のためのプロダクトデータ活用
パナソニックは、消費者の多様なニーズに応えるため、“100カテゴリー・10,000品番”と数多くの商品を展開しています。しかし、冷蔵庫や洗濯機など家電の購入頻度は限られ、顧客との接点は多くありません。そのため、商品価値の向上に加え、顧客体験の価値を高め、総合的な満足度を提供することを重視し、「次もパナソニック」と選ばれ続ける企業を目指しています。 パナソニックでは顧客のことをよく知るためのデータとして、顧客の属性データ、行動データ、そしてプロダクトデータの3つのデータを収集・整備し、活用に取り組んでいます。
プロダクトデータに関する取り組みについては大きく3つのポイントがあります。
まず、商品データの統合とメタデータの充実です。これまで商品データが複数の場所に分散されており、正確な情報が不明瞭な状況でした。これを改善するため、Lazuli PDPを導入し、機械的にデータを収集・集約することで、分析可能なマスタデータを作成しています。併せて、カテゴリーや商品特徴、関連商品などのメタデータを拡張し、AI活用や高度な分析に役立てようとしています。
次に、商品ページのURLデータの整備です。パナソニックでは、ECサイトのどのページにどの商品が載っているかについてはURLに品番が紐づいているため、管理されていますが、各商品に対して、どのページにその商品に関する記事が掲載されているかは管理できていない状況でした。現在では、この記事ページのURLについてもマスタ化すべく取り組みを進めています。
最後に、特徴タグの付与と行動データの活用です。商品に特徴タグを付け、サイト内検索で「ファミリー向け」などの条件で商品を絞り込めるようになることを目指しています。また、閲覧データや行動データ、お客様の属性を掛け合わせ、お客様の関心を正確に理解し、最適な情報を提供する仕組みの構築にも取り組みたいと話しました。
海外の事例から見るお客様との継続的な繋がりとは
次に、クラスメソッド 濱野氏より、お客様と継続的に繋がりを持つため海外の事例についてご紹介いただきました。
濱野氏は、株式会社顧客時間の提供するフレームワークに沿うならば、繋がり続ける価値についてピラミッド構造になっているとし、「機能価値」の上に「体験価値」があり、その上に「つながっている価値」があると言います。
さらに、モバイルアプリやECは実店舗と同じコミュニケーションの場になっているが、顧客から見て繋がり続ける価値がないと売上にも繋がっていかないと話しました。お客様に繋がり続ける価値を感じてもらう例として、ニューヨークの百貨店「Nordstrom」において、購買に応じて単純な価格優待(Reward)だけではなく、権利(Priority)を付与するロイヤリティプログラムの事例(例 クレジットカード会員に食事またはスパ体験を提供)などを紹介しました。
顧客体験向上のためのプロダクトデータ活用における課題
第二部ではご登壇いただいた吉本氏、山下氏、濱野氏と参加者全員で、「商品データが整うことで、顧客が得られる価値は何か」をテーマに、プロダクトデータの活用に関してディスカッションが行われました。顧客体験価値の向上のために、顧客データやプロダクトデータの活用が重要だとしながらも、社内外におけるデータ整備において多くの課題が挙げられました。
データ統合の難しさや情報の一貫性の欠如
購買プロセスの断絶
商品データの収集・統合において、店舗とECサイトで顧客体験が統一されていないという例が挙げられました。例えば、ECにおけるバーチャルでの試着データと店舗データの連携が取れていないことで、バーチャルで試着した商品を店舗で探す顧客は、店舗での該当商品の位置がわからず、購買に至れないというケースがあるそうです。オンラインとオフラインのデータ連携による顧客体験の一貫性を保つ必要性が語られました。
情報の一貫性の欠如
メーカーが小売店やECサイトに提供する商品情報の粒度が異なり、ECを運営する小売店やEC事業者は一部商品情報を削ぎ落としてECに商品掲載をせざるを得ないケースが発生することもあるという声が上がりました。
不十分なマスタデータ整備、オーナーシップの所在
商品データの統合、整備が進まない理由として、データ整備に責任を持つ役割が不明確だったり、社内での調整が難しい場合が多いことが挙げられました。また組織内の属人的な力関係に依存していたり、部署を横断したデータ活用にいてデータの使用権利に関する議論が発生してしまうこともあるようです。
まとめ
顧客の購買データの利活用において、プロダクトデータをはじめとする社内の様々なデータを収集・統合することで、顧客の解像度を上げ、より1to1なマーケティングを実現に繋げることができます。一方で、データ統合において、社内における調整やオーナーシップの所在に課題があるということが議論を通じて明らかになりました。 各社がそれぞれ持つ基幹システムで管理しているデータに対して、Lazuliはプロダクトデータの生成・加工のご支援をしています。基幹システムにある取引情報に加え、JANコードや画像、ECに必要な商品説明文やキャッチコピー、URLなどのデータを構造化して商品マスタに持つことで、分析の高度化や顧客体験向上に寄与するアプローチができるようになると考えます。Lazuliは、これからも“使えるデータ”の取得・整備のお手伝いをし、企業が「顧客とつながり続ける」支援をしていきます。
Lazuli PDPとは:https://lazuli.ninja/product-data-platform/