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イベントレポート:パナソニックが描くD2C/CRM戦略と顧客体験の進化

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Sep.30.2024
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2024年9月12日に開催されたオンラインカンファレンスにおいて、パナソニック株式会社(以下、パナソニック)の山下氏とLazuli株式会社 執行役員の北庄司が登壇し、パナソニックの顧客体験(CX)向上に向けた取り組みが詳細に紹介されました。本セッションでは、特にデジタルマーケティングにおけるD2C(Direct to Consumer)とCRM(顧客関係管理)を中心に、パナソニックがどのようにして顧客体験を進化させ、企業としての競争力を強化しているのかが語られました。

ユニファイドコマース時代の顧客体験

山下氏は、パナソニックの国内家電事業におけるマーケティングテクノロジーの責任者として、同社が顧客体験の進化に取り組んでいる現状を説明しました。特に、近年顧客とのタッチポイントが増加する中で、メーカーや小売業者が提供すべき「統一された購買体験」の重要性が高まっていると述べました。

パナソニックでは従来、100種類以上のカテゴリと1万品目を超える商品ラインアップを揃え、幅広いニーズに応えてきましたが、近年は「商品価値」のみならず「顧客体験」を強化することが、顧客満足度向上の鍵であると考えています。山下氏は、パナソニックが目指す顧客体験を「やっぱりパナソニック、次もパナソニック」と顧客に感じてもらうことだと語り、そのために様々な取り組みを進めていることを紹介しました。

オウンドメディア刷新によるCX向上

今年、パナソニックは自社のオウンドメディア、具体的にはカタログサイト、会員サイト、そしてD2CのECサイトの大規模な刷新を行いました。この刷新の目的は、顧客がパナソニックのサイトに訪れる理由やニーズにしっかりと対応し、コンテンツを充実させることで、スムーズな購買体験を提供することにあります。山下氏は、これにより顧客体験を強化し、顧客満足度を向上させることが狙いであると説明しました。

しかし、まだ改善の余地があり、パナソニックは今後もオウンドメディアを進化させ続ける計画です。特に注力しているのは、顧客の購入前、購入時、購入後といったあらゆる段階での接点を通じて、最適な顧客体験を提供するためのシステムとデータ活用の体制づくりです。このように、パナソニックはデジタルとリアルの接点を融合させた、「一貫した価値訴求」を実現することを目指しています。

データ活用とAIによる顧客提案の進化

パナソニックが推進するデジタル戦略の中心には、データ活用とAIによる顧客提案があります。山下氏は、同社が従来からさまざまな形式で収集していたデータを、いかに効率的にマスタデータ化し、価値訴求に役立てるかが重要な課題であると強調しました。

社内には、実需データ、市場データ、オウンドメディアの行動データ、修理データなど、多岐にわたる情報が存在します。これらのデータを常に最新の状態で機械的に収集し、統合的に管理することで、正確な商品提案や顧客分析が可能となります。この取り組みを通じて、パナソニックはAIによる高度な顧客提案を実現し、関連商品のレコメンドや購買傾向の分析を行っています。

また、AIを活用することで、閲覧ページに基づく関心アイテムの推定や、購入履歴に基づいた施策の自動実行も可能となり、よりパーソナライズされた顧客体験を提供できるようになります。これにより、顧客一人ひとりに合わせた質の高い提案をスピーディーに行い、顧客満足度の向上を図っています。

Lazuliとの連携によるデータ基盤の強化

このようなパナソニックのデータ駆動型アプローチを支える重要なパートナーのひとつが、Lazuli株式会社です。Lazuliは、パナソニックが使用する商品データのプラットフォームを提供しており、これにより、社内外の様々なデータを一元管理し、部門ごとにサイロ化されている、ウェブ上に散見しているプロダクトデータの統合を実現しています。

山下氏は、Lazuliのプロダクトデータプラットフォーム(PDP)を採用した理由として、部門横断的にデータを共通財産化し、それを活用して顧客理解を深めるための強固な基盤の構築を実現してくれる点を挙げました。Lazuliは、データを整理し、誰もがアクセスしやすい形に整えることをミッションとしており、これによりパナソニックは効率的かつ効果的にデジタルマーケティングを展開できる体制を整えています。

Lazuliが提供するプラットフォームでは、商品情報を整理し、ECやCRM、リテールメディアといった多岐にわたる用途で利用できる形に生成・加工・連携することが可能です。これにより、パナソニックは顧客理解を深め、正確なデータに基づいた価値訴求の実現を目指します。

「売った後の奉仕」による顧客とのつながり

山下氏は、パナソニックの顧客体験に対する姿勢の根底には、創業者・松下幸之助の教えである「売る前のお世辞より売った後の奉仕」があると語りました。パナソニックは、デジタル技術を単なる手段として捉え、最終的な目標は顧客とつながり続けることだとしています。この「つながり続ける」ことによって、顧客のニーズに寄り添い、最適なサポートを提供できる体制が整えられます。

具体的には、パナソニックはコールセンターの顧客理解度とデジタル接点の情報量を組み合わせ、より高度な顧客サポートの実現に向けた取り組みを推進しています。これにより、顧客のペインポイントを迅速に把握し、適切な提案を行うことで、顧客に安心感と信頼感を提供することができると山下氏は説明しました。

まとめ:デジタル時代のパナソニックの顧客体験

パナソニックのD2C/CRM戦略は、データとAIを活用して顧客体験を進化させ、顧客満足度を高めることに焦点を当てています。デジタル化の進展に伴い、パナソニックは顧客との接点を増やしながらも、一貫した価値訴求を実現するために、Lazuliとの協力を強化しています。今後も、顧客と長期的につながり続けるためのデジタル基盤の進化が、パナソニックの競争力をさらに押し上げることでしょう。