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ロッテが考えるサステナブルな社会を創り出すデータ戦略とは – Lazuli Executive Salon Vol.3 開催レポート

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Sep.27.2024
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2024年8月26日、Lazuliは株式会社ロッテ(以下、ロッテ) ICT戦略部 部長の緒方 久朗氏、株式会社顧客時間 共同CEO代表取締役 兼 オイシックス・ラ・大地株式会社 COCOの奥谷 孝司氏をスピーカーとしてお招きし、「ロッテが考えるサステナブルな社会を創り出すデータ戦略とは〜ブランドが向き合うべき経営課題を解決するデータ戦略について考える〜」をテーマに、エグゼクティブ向けイベント「Lazuli Executive Salon Vol.3」を開催しました。国内大手メーカー/ブランド/リテールの中でサプライチェーンやDXに取り組む企業の方々にお集まりいただき、企業が取り組むべきサステナビリティやトレーサビリティに関するデータの活用と顧客体験についてディスカッションいたしました。

ロッテが考えるサステナブルな社会を創り出すデータ戦略とは

ロッテが描く、データでつなぐサステナブルな未来

ロッテは、お菓子やアイスクリームの製造販売で知られる老舗企業です。同社は、マテリアリティとESG中期目標の中で脱炭素とFLW(Food Loss & Waste)削減に力を入れています。

緒方氏は「これらの目標実現のためには、サプライチェーン全体でのデータの連携が不可欠」と述べます。しかし、従来のSCMでは、製造から販売までのデータが断絶しており、小売店の店頭在庫の可視化が困難という課題がありました。

そこでロッテは企業のデータの名寄せ、統合、連携を行うLazuliと連携し、店頭在庫の可視化プロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、卸店から小売店への出荷データ、小売店の販売実績、ラウンダーの店舗活動実績、店頭資材の直送実績という4つのデータを連携することで、店舗のリアルな在庫状況を把握することを目指しています。

Lazuliが持つ商品マスタの名寄せに関する知見を活用することで、店舗情報をキーにデータの紐付けを実現し、より精度の高い売り場の分析や在庫最適化によるFLW削減を目指しています。これにより、ロッテは最適な発注や販促活動を行うことができ、売上向上にもつながることが期待されます。

海外トレンドに見る、顧客体験向上とデータ活用の重要性

奥谷氏は、NRF2024やSHOPTALKといった海外の主要小売イベントで得られた最新のトレンドを共有しました。特に、顧客体験の向上とデータ活用の重要性について強調されました。

  • D2Cの普及と1st Party Dataの活用: 小売企業はもちろん、メーカーもこぞってD2Cビジネスに参入し、自社で顧客データを収集・活用することで競争優位を築こうとしています。
  • オンラインとオフラインのシームレスな統合: 顧客とのタッチポイントがオンラインに拡大する中、データを統合し、顧客に信頼される統一的な顧客体験を提供することが求められています。
  • AIの活用: マーケティングはファネル型から脱却し、顧客の課題解決に焦点を当てたAI活用が求められています。ウォルマートのように、AIの倫理的な利用を重視する動きも広がっています。
  • サステナビリティとデータ: サステナビリティ目標達成のためには、データに基づいたパートナーシップが不可欠です。

海外の事例と比較して、日本の小売業界ではデータが十分に整備されていないという課題が浮き彫りになりました。海外では、AIを活用したパーソナライズやサプライチェーンの最適化など、データに基づいた革新的な取り組みが進んでいますが、日本ではまだその取り組みが遅れている状況です。

しかし、海外の事例を参考に、日本でもデータ活用の重要性が認識され始めています。今後、日本の小売業界においても、データに基づいた顧客体験の向上やサプライチェーンの最適化が進むことが期待されます。

顧客体験をよくするために持つべき商品に関連するデータとは何か?

第二部では、顧客体験向上のためのプロダクトデータの活用について参加者全員でディスカッションを行いました。参加者からは、以下のような興味深い意見が数多く寄せられました。

サステナビリティへの意識の高まり

環境問題への関心の高まりを受け、多くの企業がサステナビリティを重視した製品開発に取り組んでいます。参加者からは、「製品の寿命を延ばし、リペアやリユースを促進することで、環境負荷を低減できる」といった意見が聞かれました。また、製品の原材料の調達過程における倫理的な問題や、消費者の購買行動に対する意識の変化についても言及され、それらの情報を保持するためのデータ連携が重要な要素であることが示唆されました。

顧客の「ジョブ」に着目

顧客は、単に商品を購入するのではなく、その商品を使って何かを成し遂げたいと考えています。この「何か」を「ジョブ」と呼びます。参加者からは、「顧客のジョブを理解し、それに最適な製品を提供するためには、製品データに顧客の行動履歴やフィードバックといった情報を加える必要がある」という意見が出されました。

商品マスタの課題と解決策

一方で、各企業が独自に管理している商品マスタが、部門間や企業間で統一されていないという課題も浮き彫りになりました。この課題を解決するためには、部門横断的な商品マスタを構築し、企業全体のデータ連携を推進する必要があるとの意見が一致しました。

ディスカッションを通して見えてきたこと

今回のディスカッションを通して、企業がプロダクトデータをどのように活用しているのか、そして今後どのような方向に進もうとしているのかが明らかになりました。以下に、ディスカッションから見えてきたことをシンプルにまとめました。

  • データの重要性: 顧客体験向上のためには、商品に関するあらゆるデータを収集・分析することが不可欠である
  • サステナビリティへの貢献: プロダクトデータは、在庫可視化に留まらないデータの統合・連携によるサステナブルな社会の実現に貢献できる
  • 顧客中心の視点: 顧客の「ジョブ」を理解し、それに応えることが重要である
  • データ連携の必要性: さらなるデータ活用のためには部門横断的な商品マスタの構築が求められる

まとめ

今回、参加者からは、サプライチェーン全体でのデータ連携の重要性や、顧客の購買プロセスにおける一連の体験をデザインすることの重要性などが指摘されました。これらの議論を通じて、企業が顧客中心のビジネスを展開していくためには、企業が抱える様々なマスタや商品データの統合・活用が不可欠であるという共通認識が得られました。Lazuliが提供するサービスは、メーカーが持つマスタデータを一元化し、データ間もしくはシステムとの連携を可能にすることで、より詳細な商品情報を管理し、顧客体験を向上させるための施策に活かすデータ基盤となります。Lazuliは、今後もAIを活用し、グローバルな視点で商品データの課題解決に取り組んでいくことで、企業の成長を支援していきます。

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