2024年5月14日、Lazuliは江崎グリコ株式会社 デジタル推進部長の武子 弘司氏、株式会社顧客時間 共同CEO代表取締役 兼 オイシックス・ラ・大地株式会社 COCOの奥谷 孝司氏をスピーカーとしてお招きし、「データを武器に顧客接点を変革するグリコの挑戦〜顧客価値の創造に欠かせない商品データとは〜」をテーマに、エグゼクティブ向けイベント「Lazuli Executive Salon Vol.2」を開催しました。国内大手メーカー/ブランドの中でDXやマーケティングに最前線で取り組む約10社の企業の方々にお集まりいただき、企業がより深く顧客とつながるために取り組むべき、商品データの活用についてディスカッションいたしました。
2024年5月14日に開催された「Lazuli Executive Salon Vol.2」は、メーカーやブランドのマーケティングおよびDX部門の責任者10名をお招きし、各社のお取り組みや課題についてディスカッションを行う場です。今回のイベントでは、企業が持つべき「ゴールデンテーブル」をキーワードに、企業がデータを活用して顧客接点を変革するための具体的な事例とディスカッションを通じた参加者同士の知見の共有を行いました。
第一部:「データを武器に顧客接点を変革するグリコの挑戦〜顧客価値の創造に欠かせない商品データとは〜」
第一部では、江崎グリコの武子氏と顧客時間の奥谷氏が登壇し、顧客価値を創造するための体験設計やデータ活用、人財育成について講演いただきました。
江崎グリコでは、100周年を迎えた2022年2月より「すこやかな毎日、ゆたかな人生」をパーパスに掲げ、お客様を起点としたデータ活用・価値創造に取り組んでいます。武子氏がリードするデジタル推進部では、「お客様」に有益となるデータの収集と活用のみに特化し、より正確に顧客のニーズを把握し、顧客に寄り添った商品開発やマーケティングを行っています。また、データ取得、活用を導く組織をつくるための人財育成を行うことで、データ活用におけるさらなる飛躍を目指します。
収集した会員情報をもとに顧客像を捉えていく際、顧客の行動を明らかにするためにはどんな商品マスタを持つ必要があるのでしょうか。メーカーがモノを製造・販売する際に必要な基本情報に加え、どのようなお客様にどのようなサービスを届けるといいのか、それらを明確にするためにも、商品マスタをリッチ化する必要があると武子氏は言います。また、商品にアップデートがあった際にも、その商品に関するコンテンツ(SNSや記事など)がマスタで紐づいていないと購入する顧客に正しくない情報を提供する可能性があるため、「ゴールデンテーブル」による情報の統合の必要性について言及しました。
常に顧客を中心に据え、顧客への価値提供を芯に置く江崎グリコのデジタル戦略は「すこやかな毎日、ゆたかな人生」の実現に向け、進化し続けます。
奥谷氏は、無印良品、オイシックス・ラ・大地での経験や、米国で行われたカンファレンス「Shoptalk」での事例などを通じ、デジタル時代においてオムニチャネル化、ユニファイドコマースを推進する際に商品データの整備が欠かせないことについて言及しました。
例えば、P&Gでは「カスタマージャーニードリブン」でサプライチェーンの効率化を進めており、COO曰く、いまやシームレスな商品データのデータフローが必要であり、消費者の行動と嗜好を理解することが重要となることを伝えたと言います。AIは、消費者の理解をするために使うものであり、「Seamless Product Data Platform」が必要であることが述べられました。
また、顧客体験に不可欠である商品売り切れ時の次のオファーを実現するにおいてもバックボーンとして存在するのが商品マスタであり、もはや商品マスタは在庫適正化のためだけに存在するものではないといえます。
顧客が商品を選ぶ際に必要な情報を的確に提供することで、購入時の納得感の醸成やリピーターの増加に大きく貢献します。
データをどのように活用し、どのような情報をマスタデータとして蓄積するべきかについても具体的なアドバイスをいただきました。
第二部:ディスカッション「商品データが整うことで、顧客が得られる価値は何か」
第二部では、「商品データが整うことで、顧客が得られる価値」について参加者全員でディスカッションを行いました。事前に収集していたテーマへの回答を以下の三軸に分け、各社の取り組みや課題について互いに知見を共有する貴重な場となりました。
三つの軸
- EC
- CRM
- Organization
実際に下記のような課題やトピックについてディスカッションが行われました。
<EC>
・SKUが多い状況における効率的なデータ管理法について
・商品マスタが店舗向けにしか作られていないため、EC向けの情報が不足している
<CRM>
・CRMの変革において、顧客データに加え、商品データの活用が必要だと感じているが、社内において商品情報管理が分断されており、そもそもの商品データの統合に課題がある
・グローバルなWebプラットフォームの統制や直販ECの展開を進める中で、顧客データと1stパーティデータの活用における課題
<Organization>
・利害関係のある社内関連組織とマスターデータを共有する際のコスト分配について
まとめ
本イベントを通して、商品データは顧客の視点から整備されるべきであり、購買意欲を高めたり、安心してモノを買えるようにするためにも商品情報の整備が不可欠です。何をするためのデータなのか、そのためにはどんなデータを取得する必要があるのかを定義する重要性について盛んに議論されました。
このデジタル時代において顧客とつながるために企業が持つべき商品マスタは、各企業によって必要なカラムが異なります。各社のゴールデンテーブル(商品マスタ)整備が今後のデジタル戦略には欠かせないでしょう。 今回の「Lazuli Executive Salon」は、商品データの重要性と商品データの管理、活用方法について深い洞察を提供する場となりました。今後も、デジタル変革を推進する企業間の情報共有と連携を促進し、さらなる顧客価値の創造に寄与していきたいと思います。